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トランプ大統領は保守派判事を米最高裁に送り込めるか-QuickTake

トランプ大統領は保守派判事を米最高裁に送り込めるか-QuickTake

米連邦最高裁判事は大統領が指名し、上院が承認手続きを行うと憲法は規定しているが、憲法が定める最高裁判事の要件は「品行方正」ただ一つだけだ。詳細の詰めと攻防は議会に任されており、最高裁判事でどちらが多数を占めるかを巡り、保守派とリベラル派との争いがここ数年あからさまに繰り広げられた。

  トランプ大統領は、18日に亡くなったリベラル派のルース・ベイダー・ギンズバーグ判事の後任を11月3日の大統領・議会選を待たずに任命したい意向だ。最高裁で保守派が多数を占める状況を固定化する狙いがある。2017年の上院の規則変更でトランプ氏にそのチャンスが生まれたが、前例に倣えば大統領選前の任命はできないと民主党は主張する。

1.上院の指名承認手続きはどのように行われるか

  最高裁判事の指名承認に関する上院の審議を終わらせ、最終採決に持ち込むには、伝統的には定数100人の5分の3に相当する60人の同意が必要とされる。 17年にはトランプ大統領が最初に指名した保守派のニール・ゴーサッチ氏の承認手続きで、少数派の上院民主党が採決を妨害した。しかし、共和党のマコネル上院院内総務は「核オプション」と呼ばれる上院規則の変更に動き、単純過半数の賛成でゴーサッチ判事は承認された

  これは最高裁判事任命のハードルを下げ、トランプ氏が指名した2人目の保守派判事、ブレット・カバノー氏の承認手続きが円滑に進んだほか、ギンズバーグ氏の後任に指名する判事の承認に向けた採決も容易になりそうだ。

2.前例に倣えば大統領選前の指名はできないと民主党はなぜ主張するのか

  16年2月に当時のオバマ大統領は、保守派のアントニン・スカリア判事の死去を受け、中間派とされるメリック・ガーランド氏を指名した。だが上院共和党は、大統領・議会選の年であることを理由に承認のための公聴会開催を拒否した。民主党側は今年が選挙の年であり、共和党は自分たちの論理に縛られるはずだと主張。トランプ大統領が新たに指名する後任判事の承認に向けた採決を阻止するには、上院の共和党議員53人のうち4人が同意しなければならない。

3.大統領選前の上院での承認は可能か

  上院司法委員会は、指名された判事候補に対し、経歴に関する極めて長い質問状の全て項目への回答を求め、通常は1週間に及ぶ公聴会を経て、2週間後に本会議で採決が行われる。議会調査部の18年の報告書によれば、カバノー氏より前の判事候補15人が指名から上院採決までに要した期間は、平均で69.6日だった。

©2020 Bloomberg L.P.